迷子 の おばあさん に出会ったらどうしたら良い?

僕の住んでいる町ではまれにこのような放送が流れる。

「今日のお昼頃より80歳の男性の行方がわからなくなっています。身長165cm、やせ形、白髪。お心当たりの方は・・・」

雰囲気としては校内放送のような感じだ。

 

気のせいかも知れないが、冬にはほとんど聞いたことがない。春から秋にかけて特に夏が多い気がする。

 

仕事帰りのガソリンスタンドでおばあさんに遭遇

認知症 おばあさん 遭遇

今日は仕事がすんなり終わり、日がのびたこともあってまだ明るいうちに会社を出た。

途中コンビニで一服。スマホをチェック。家の近くに来たころにはあたりは薄暗くなっていた。

 

薄暗い中に光るオレンジのランプ。

通勤に使っている原付ホンダリトルカブの給油を促すランプが点灯した。

明日は日曜日だ、慌てて入れることもないか・・・とも思ったが、後回しにして月曜の朝に困ったことが何度もある。仕方が無い、意を決して(それほどたいそうなことではないが)給油をしに家の近くのGSへ寄った。

 

いつも通りの給油。今日は360円ピッタリ、良い事がありそうだ!などと思っていると、

 

「すいません、○○はどっちのほうですか?」

 

声がかかる。いつのまにかおばあさんがそばにいる。

 

「すいません、癌センターはどっちのほうですか?」

今度はしっかり聞こえた。あー癌センターね。癌センターはこの辺では大きな施設だ。よく目印としても使われる。

 

「癌センターならあそこのバス停で・・・」

そのバス停で停車するバスは2系統あって間違ったバスに乗ると癌センターとは全く違う方向にいってしまう。はて?どう説明しよう。普段バスを使わない僕は経由名までは知らない。

 

「○○中学のあたりにいきたいのですが」

確かに癌センターの手前に○○中学がある。

 

「あそこのバス停から左へいくバスに乗って・・・」

「あっちの方向ですね。ありがとうございます」

と言って歩き始めた。

 

「あーバスの種類が・・・方向はそっちであってるんですけど・・・」

「あの信号を左に曲がれば癌センターの方に行くんですよね?」

「そうです。・・・歩きですか?」

「歩いたら遠いですよ」

まさかと思いながらも訊ねた。

「大丈夫ですよ」

おばあさんは行ってしまった。

GSでお釣りの自動精算を行いながら「いや、歩きっておかしいよな」「徘徊?」「でも1時間くらいあるけば着くといえば着く」「でも全然道を知らなそうだった」「道のりは暗く歩道は無いに等しい、クルマの通りは多くあって危険」「翌朝のニュースで・・・」などと考えが頭をグルグル回る。

 

精算の終わった僕はおばあさんを探すが見つからない。仕方なしに家につく。

でも気になる。

 

原付を家に置き徒歩でおばあさんを探す。

癌センターに通じるバス通りを走る。見つからない。道は直線で人影はない。

 

まだそこまで進んでいないと判断しGSのほうへ戻る。見つけた。まだほとんど進んでいなかった。

 

おばあさんをクルマで送ることを提案する

 

おばあさんは僕を見ると声をかけてきた。

「道はこっちであってますよね」

良かった。さっき話した人物として認識してくれているようだ。徘徊は気のせいで本当に土地勘なく迷子になってしまったのか?とにかく歩いて帰るのは時間もかかるし危険だ。

「僕の家、すぐそこなんでクルマ持ってきて送りますよ」

「えっいやそんな悪いですよ」「そんな図々しいことはできませんよ」

「いやでも危ないし、歩きだと1時間くらいかかるから送りますよ」「ここで待っててください。クルマとってきますから」

 

急いで家に戻り、両親に事情を話しクルマを借りる。

親父が言う、「警察いったほうが良いのではないか?」

 

確かにそのほうが無難だし安全だ。しかし本人は嫌な思いをしないだろうか?まるで連行するようで自分的に悪い気がする。

「様子見て危なそうだったら交番にいくよ」

 

おばあさんを送り無事に目的地につく

 

クルマを借り、おばあさんを乗せる。

「クルマに乗ったことがほとんどないからどうすれば良いかわからないわ」

そういう人もいるのかなと思いながらシートベルトの装着を手伝う。

 

走りながら様子をうかがう。道を説明する。道については全く知らない様子だ。

 

「こんな暗い道なんで歩いていたら危ないですよ」

「歩いてきたんですか?」

「家の前まで送りましょうか?」

いくつか問いかけるが、ハッキリとした答えは返ってこない。

 

ただ何度か「あ〜しっかりしないとダメねぇ〜」と言っていた。

 

中学校が近づいてくる。

どうやら場所がわかったようで「ありがとうございます」と降りる準備をし始める。

 

「家まで送りましょうか?」

家族のもとまで行ったほうが安心なので再度問いかけるもたいした答えはなく、

「あの商店やってるかしら?」

商店の看板に電気がついている。

その手前の交差点で

「この辺で大丈夫です。ありがとうございました」

と言われ、少し不安が残るがそこで停車して降ろすことにした。

おばあさんを降ろした僕はUターンで家に戻る。Uターンが終わるまでおばあさんは見送りをしている。一礼をしながら僕は帰路についた。19時20分だった。

おばあさんは無事に帰ることができたのだろうか?

 

認知症なのか? あとがき

 

どうすることが正解だったのだろう。送ったあとにもスッキリしない。

やはり警察に任せるのが一番無難だったろうか?

 

気になるのは降りる前に言っていた「商店」という言葉。
地元であれば名前を知っていそうなものだし、営業時間もわかっていそうなものだ。

 

いまこの記事を書いている時点で、中途半端な親切をしてしまい結果的には迷惑になってしまう可能性があると後悔している。やはり警察か自宅まで責任を持って連れて行くべきだったか・・・

バスに乗れば特に問題ないのにそれをしないのも引っかかる。
迷子になってしまったことを除けば普通に見えたが、そう見えるだけであってかなりの認知症なのかも知れない。そう考えればやはり警察にいくべきだったか。

本当は癌センターの入院患者の可能性も・・・

もう過ぎてしまったので今は無事に家に着いていることを祈るだけです。

 

色々な推測が出来てしまうし
本当にどうすれば良かったのか、みなさんはどう考えますか?色々な意見やコメントを待っています。

別サイト:認知症による徘徊