愛車 リトルカブ が 水没 しました。
大雨で気づいたときには水の中でした。
「水没したらクルマやバイクは終わり。ほとんどの場合が廃車。」なんて事を聞いたことがあるかも知れません。それは、半分正解で半分間違いです。
私のリトルカブはハンドルまで浸かった状態でしたが、様々な偶然が重なり復活を遂げました。
諦めたら試合終了です。
出来る限りのことをやってみましょう。
リトルカブ 水没の状況
当日は朝から雨。いつもどおり出勤。場所はくぼんだ土地にある倉庫。リトルカブはいつも階段を2段分上げた場所に停めています。
昼前には雨水が溜まり10cm程度の水位となっていました。外の様子を確認しながら昼ご飯を食べていると、急激に水位が上がり始めました。水位は20cmを超え倉庫の中に進入。あわてて倉庫内のものを救出。水の勢いは強くみるみるうちに水位が上がっていきます。このまま倉庫内にいては危険と判断し脱出。外に出ると同僚たちがクルマを移動させています。残念ながら持ち主が留守だった2台は水没。ここまで僅か30分。
その時に思い出しました。リトルカブは?
あわてて駐輪場所へ。見事にハンドルまで浸かっていました。
「もう無理だよ、あきらめなよ!」と同僚の声。
自分でも「ああ、もうダメだ」と思いなが、それでも水の中へ飛び込み救出へ。もの凄い水の流れでリトルカブごと流されそうになる。「もう無理だ」手から離れてしまうと思ったところで同僚が手伝ってくれて無事救出。
リトルカブが水に浸かっていた時間はおそらく15分程度。
その後、JAFを呼ぶも非常事態で混雑。順番待ち2日間、連絡が来ず。3日目に自分で直すことを決意。
リトルカブ 水没からの復活手順
今回の水没で行ったことは以下の通りです。
- レッグシールド取り外し
- エアクリーナ取り外し、清掃、フィルター取り外し乾燥
- プラグの取り外し、エンジン内の水を除去
- マフラー取り外し、マフラー内の水を除去
- プラグ点火の確認、電気系の確認、エンジン始動
とにかく内部に入った水を除去。水の除去が終わるまではエンジンをかけない。(電気を通さない、ピストンを動かさない)
あとはラッキーを祈る。
吸気系の確認
まず何をするにも邪魔になるレッグシールドを取り外します。
取り外しは10mmボルト4本と12mm袋ナットを2個で計6ヶ所を外す。ハンドルを真っ直ぐのままレッグシールドを前方にずらしながら引き抜く。
エアクリーナーのボックスを叩いたらポタポタと水が落ちてきました。
+ネジ4本を外してエアクリーナーのフタを取る。
中身は少々水が入ったようで、エアクリーナーが半分湿っていました。これはドライヤーをあてたりしながら一晩置いて乾かしました。紙製なので本来は交換した方が良いです。
以上で吸気系統の処理は終了です。
思ったより水が入っていなくて安心しました。もちろんここまで一度もキーをONにはしていません。電気は最後に通します。
キタコ (KITACO) エアエレメント K-PIT スーパーカブ50(キャブ/FI)、プレスカブ(キャブ/FI)、リトルカブ(キ...
プラグの確認
次はプラグを確認しました。
プラグコードを引き抜き、プラグをプラグレンチで取り外します。プラグレンチは16mm。
プラグ自体は水に濡れたようなあともなく正常でした。ただ以前からなのか大雨後に2日間放置したせいなのかはわかりませんが錆びが多く発生していました。これも再利用しましたが早めに交換(CR6HSA)する予定。
プラグを外した状態でキックを使ってエンジンを回しました。エンジン内部に水が入っていればプラグホールから水が飛び出てきます。※キーはOFFのまま
何度かキックしましたが水は出てきませんでした。
このまま次の行程に進みます。
排気系の確認
前述のキックを行ったところで、マフラーに水が入っている場合はマフラーから水が飛び出てきます。
特にマフラーから水が出てくる様子はありませんでした。が、念のためマフラーも外しました。マフラーはエンジン下部の10mmエキゾーストナットと車体左右を貫通する17mmボルト&ナットで固定されています。17mmメガネをかけつつ車体に引っかけます。逆側をモンキーで回しました。
外したマフラーを逆さにしたりしてチェック。あれほどの水没にもかかわらず水は出てきませんでした。
排気系のチェックは完了です。
水没 リトルカブのイグニッションをONにする
一通りチェックしたのでキーをONにします。
※心配な場合はコンピューターなど電気系部分に水が残っていないかチェックすると良いかもしれません。
エンジンチェックランプが点灯、消灯。無事、電気が通りました。
この状態で外したプラグにプラグコードを取り付けキックを行います。こちらも無事にプラグに火花が飛ぶことを確認できました。
その他のチェック&始動
ガソリンとオイルに水が混ざっていないか、残量とニオイでチェックしました。どちらも極端に量が増えていることも無く、ニオイも普通でした。
※結局ガソリンは使い切りました。オイルは近々交換予定
これで異常と思える部分は見当たりません。
エアフィルター、プラグ、マフラーを組み付け、実際にエンジンを始動します。
問題なく一発でエンジンがかかりました。僅かに残っているであろう水分を飛ばすためしばらくエンジンはかけたまま様子を見ましたが特に問題はなさそうです。
水没 だけどラッキーだった リトルカブ
様々なラッキーや条件が重なってリトルカブは無事復活しました。
復活に良かった条件とは
停車中
走行中であればエアクリから大量の水を吸い込んだことでしょう。もし走行中にまずいと思ったら即停車することをオススメします。
インジェクション車
当方のリトルカブはインジェクション車です。これはバイク屋さんに聞いた話ですがキャブ車だとキャブに水が入り混んでしまう可能性が高いそうです。エンジン始動の前にガソリンは総入れ替えとなります。
水没は時間との勝負
水没に気がつきすぐに引き上げたことで内部への水の浸入が最小限になりました。もちろん引き上げ時は無我夢中でそんなことは考えていませんでしたが、諦めなかったことが良い方向に向かったようです。ちなみに同じ場所に停めてあり、同じく水没したけど諦めた同僚のスクーターは不動車となりました。
電源はONにしない
ずぶ濡れ状態で電源をONにした場合はどこかでショートして何かが壊れたかも知れません。逆にここまでチェックしなくても最初からエンジンがかかった可能性もあります。それはわかりません。
ラッキーなこと
水没は一瞬で訪れた
これは予想ですが、空気が抜ける間もなく水没したのではないかと思っています。ゆっくり増水したり、水が引くまで置いてあったらマフラーの中に大量の水が入っていたのではないかと思います。
あとがき
実は諦めていました。
諦めて次のバイクを探しにいつものバイク屋にいったら店長に「それならまだ大丈夫かもしれないよ」と言われ、復活の手順と注意点を細かく教えてくれました。
動いているときの水没は復活が厳しい。止まった状態なら大体大丈夫。ただしコンピューターがやられていなければ。とのことでした。
水没した場合は後々、錆びなどにより不具合が出ることも多いそうです。実際、この復活整備中もあちこちのネジが極端に錆びていました。私のリトルカブももうすぐ3万キロ。製造からは10年以上経っています。細かいパーツなど少しずつ交換しながら整備していきたいと思います。